銀河英雄伝説アニメ版の魅力

投稿:2016.12.24

歴史を繙《ひもと》くと、書物であれ映像であれアニメーションであれ、人々の脳裏に焼き付いた優れた作品は、永続的に人気博し、次の世代またつぎの世代へと、口伝えという自然な形で受け継がれています。世の中に出でたすべての作品は、人々の生活時間というフィルターにかけられ、よいものだけが半永久的に生命を持続できるのです。華の江戸時代にも通俗的な本は夥《おびただ》しく出回りましたが、そのほとんどが時代に淘汰《とうた》され、いま本屋に並んでいるものしか残っていないのです。よいものは読者によって選ばれます。

銀河英雄伝説というアニメーションもそのなかの例に漏れないすばらしい作品であると思います。SF作品として世に出たこの長編小説は、数十年のときを超えて観るものを魅了し続けています。今回の記事は、その作品の魅力について個人的目線で語ってみます。

セリフや言い回しはまるで中国文学を勉強しているかのよう

まず、セリフや言い回しの調子に大きな特徴があります。初めてこの作品を目にした人には、セリフの難解さに驚いてしまうでしょう。聞きなれない熟語や諺、言い回しが登場人物たちの会話の中に、当たり前のように使われているのです。だから、「え!?このアニメ難しすぎてわからない!?」と衝動をうけるのが純粋な感想でしょう。いまでこそ、ジブリアニメが好きな子供のようにセリフを覚えられるようになった銀英伝ですが、本編全120話のアニメーションに一貫しているのは、漢文調のセリフ体裁です。ゆえに、初心者は1、2話みて「わからないからや~めた!」と投げ出すのではなく、ひといきに10話連続でみることをお勧め致します。そうしないとこのアニメの魅力はわからないでしょう。ひといきに10話連続で観てみて、それでも「生理的にムリ」だと思うのなら、辞退する権限が与えられるでしょう笑 しかし、まずは一気に10話分見ていただきたいのです。不平を許さない心、毒舌が大好きな方、会社で上司に一度でもご立腹された経験のある人なら、きっと好きになるはずです。

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Автор: Kitty Films, Madhouse – http://anidb.info/perl-bin/animedb.pl?show=anime&aid=584, Добросовестное использование, Ссылка

会議に使える銀英伝語録。会社生活のお供に

セリフを覚えると当然ながら語彙が増えます。しかし、それは半端な語彙力ではありません。声優の若本則夫氏(オスカー・フォン・ロイエンタール役)も収録後のインタビューの中で「この作品はセリフ劇ですね」と評しています。慣れないセリフの言い回しでブレスが合わない場面がたびたびみられたとのことです。プロの声優陣でも表現するのに難解な作品であります。聴き応えは十二分にあります。
さらに、出てくるセリフというは、実社会のなかでも多くの場面で活かせる語彙ばかりなのです。舞台は戦争や政治闘争が渦巻く戦乱の時代。しかし、暗く蔭《かげ》りがでる舞台を払拭《ふっしょく》するかのようなユーモラスな表現がふんだんにちりばめられて観る者を飽きさせません。的と射ているが洒落た言い方、本音を伝えるための毒舌殺法など、なにかと歪《ひずみ》の多い現代の社会で生きる我々にに言葉の幅を与えてくれます。10話以上の作品をご覧になり、銀英伝を「おもしろい!」と感じる頃には、上司と毒舌を交わせるようになるほど仲良くなり、会議では斬り込み隊長として活躍しているかもしれませんね。

別称は銀河”声優”伝説。豪華声優陣が一同に会す

ふつのアニメ作品では考えられないほど多数の登場人物が織り成すのもこの作品の魅力。それも物語の鍵を握る登場人物が幾人も幾人も作品に描かれていおり、そのため、声優の兼任は原則認められませんでした(※意図して兼任させた例はあります ルパート・ケッセルリンクとイワン・コーネフ)。他のアニメでは主役をはっていた声優が脇役を演出するという、例外中の例外のアニメ作品となっています。ベテランの声優陣が演出するセリフ劇はまさに、一大スペクタクル。作品の趣上、残念ながら女性陣の出演は数えるほどしかありませんが、しかし、男性中心の作品感のなかに映える女性の声は彩を与え、朝露のような輝かしさを与えてくれています。

BGMはクラシックの名曲が勢揃い!

作品のBGMにはクラシックの名曲がふんだんに使われています。もともとラヴェルのボレロを交戦シーンでつかってみたいという制作陣の意見があったことが端緒となり、それがもとで、作品全体クラシックを導入したらどうかという話になったという。幸い制作スタジオにクラシックCDが多数存在したこともあって、クラシックをBGMとして取り入れるという話は決定となります。場面場面で選定されているクラシックは時に荘厳さを、時に悲壮感を作品に与えます。クラシックが苦手なかたも、銀英伝で好きになれるやも知れませんね。

渦巻く陰謀。現代に生きる私たちの社会を反映

アニメーション銀河英雄伝説は、働き盛りの大人たちに評判が高いのです。それは、上司への融和、仕事への満足感、社会構造への改革、などなど社会の原動力たる若者たちが切に実現したい事項が作品に盛り込まれているからだと思います。それらは、セリフ劇によって媒介され、日頃のフラストレーションを発散させ、夢が実現していく作品なのです。この作品ひとつ観るだけで、現代の社会構造が俯瞰できるのです。働き盛りの大人たちだけでなく、これから社会に出て行く若かりし青少年少女たちにも社会の縮図を体験してほしいと思います。

 

まだまだ十分紹介しきれていませんが、アニメーション銀河英雄伝説の魅力は、それを観たものにしかわからないでしょう。銀河英雄伝説に代表される”大河ドラマ級のアニメーション”はそうそうお目にかかれるものではございません。がっつりアニメーションを味わいたいのなら銀河英雄伝説を候補から外すことはできないでしょう。

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