化学|分子間力の影響

理想気体と実在気体_分子間引力_雑記

投稿:2017.06.05

分子間力が存在することで理想気体とのズレが生ずることを説明する問題演習と解説。
※問題とその解説・解答例は学生時代、私自身が理解しやすいようノートしたものである。問題は普遍性を持たせてあり、解説は私の言葉で記してある。そのため、読者は参考までに留めておいて頂きたい。

理想気体と実在気体との比較 分子間引力に関する問題

この図は、横軸に気体の圧力、縦軸に気体の圧力、体積、温度、気体定数を組み合わせた値を設置し、気体の圧力Pの変化に応じてPV/RTがどのように変化するか、その挙動の概念図を示したものである。それぞれの気体をA,B,Cとする。なお、気体の物質量は1 mol 、温度は一定とする。

理想気体と実在気体_分子間引力の問題図
理想気体と実在気体_分子間引力の問題図

問題1. 理想気体は気体A,B,Cのいずれかを答え、その理由を説明せよ。
問題2. 気体Aおよび気体C、それぞれの気体が何故、図のような挙動を取るのか、説明せよ。また具体的な気体名を挙げよ。

 

解答例(+解説しながら)

問題1.
理想気体は次の状態方程式が成り立っている。

(1)    \begin{equation*} PV=nRT \end{equation*}

これを次のように変形する。

(2)    \begin{equation*} \displaystyle \frac{PV}{RT}=n \end{equation*}

いま、物質量 n=1 という条件から次式が成立する。

(3)    \begin{equation*} \displaystyle\frac{PV}{RT}=1 \end{equation*}

よって、理想気体は圧力Pが変化をしてもPV/RTの値は、1の値をとる。ゆえに、理想気体は気体Bである。
 
問題2.
まず、縦軸の値がPV/RTとなっているが、RとTはこの問題を解くうえで一定であるため、PVのみを議論すればよい。それと、実在気体というのは分子そのものに体積があり、分子同士の引力(分子間引力)が働くということも押さえておかねばならない。
 そこで、気体Aと気体Cとを考えてみる。気体Aというのは、圧力が増すごとにPVの値が理想気体のそれよりも大きくなっている。圧力が増すと分子同士が密集するが、分子間引力の影響で分子同士の体積が小さくなるのに比べて、分子そのものの体積の影響が相対的に大きくなる特徴をもつ気体であると考えられる。つまり分子そのものの質量が小さいために、気体Aの分子間引力はあまり影響を及ぼしていないと考えるのである。よって気体Aは水素ガスやヘリウムガスの挙動を示していると推測される。
 次に気体Cであるが、これは気体Aとは逆に、圧力が増すごとにPVの値がどんどん小さくなっている。これは高圧になればなるほど分子同士が密集し、分子間引力の影響で気体Cの分子同士がぐぐぐっ…と引き寄せられ、全体の体積が小さくなっているのである。よって気体Cは分子の質量が大きい気体であると考えられ、水素ガスやヘリウムガスよりも質量の大きいメタンガスやアンモニアガスなどがその代表であると推測される。

 

実在気体を理想気体のように考えることの意義

極端な高圧下、極端な低温下では、分子の活動性が極端に落ちている状況である。その場合、分子間に働く引力(分子間引力)の影響が分子同士の挙動を支配する。
 理想気体[ideal gas]の分子は、質量はもつが体積はゼロ(理想気体分子群の活動範囲としての体積は有値と考えるが、温度 0K では理想気体分子群の活動範囲の体積もゼロと考える)、分子間引力もゼロである。また、実在気体の中でも、分子体積や分子間引力がとても小さい水素やヘリウムは、一応、理想気体のように挙動するとみなすことができる。
 理想気体の状態方程式を実在気体にあてはめて考えたい場合は、実在気体分子の挙動が理想気体分子の挙動と似たようなものであればよい。つまり、はるかな低圧状態とはるかな高温状態に環境を設定してやればよい。1つ一つの分子の体積や分子間引力が他の分子に与える影響が無視できるほどに活発に運動していれば、理想気体と同様な気体であると考えて議論を単純化できる。
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