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書籍|アウトドア『BE-PAL OUTING MOOK ツリーハウスブック』のご紹介

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photo : wikicommons treehouse

 

この記事では、アウトドアでよくお目にかかる「ツリーハウス」について記した書籍『BE-PAL OUTING MOOK ツリーハウスブック』のご紹介を行います。




『BE-PAL OUTING MOOK ツリーハウスブック』との出逢い


貨幣経済から脱した社会を想像し、やはり「ほんとうの生き方」というのは自然と共に生きる生き方であると常々考えていました。そこで、あるコンピュータシミュレーションゲームにて疑似サバイバル体験をしているうちに、ログハウスやツリーハウスを作る機会に恵まれました。シミュレーションの世界ですが、斧で大木を切り丸太にして担ぎ運び、青写真通りにセッティングする。設計や周りの景色との溶け込み具合、景観のよさや水源との距離、食物置場の設置など、生きていくうえで必要なことを全体を通してみながら複眼的に対処対応する疑似体験をしていました。そこで、実際にツリーハウスはどうやって作られているのか、通常の住宅建築とは施工はどう異なるのか、自分でも作れるのかと知りたくなり、図書館や書店をめぐっていくうちに出逢ったのが『Be-PAL OUTING MOOK ツリーハウスブック』(1997小学館)でした。


中身紹介 ムック本ならではの小粒でピリリと辛い編集本


全ページは122ページ。AB版のカラー刷り(一部モノクロ)の雑誌で、写真をふんだんにつかっており、ツリーハウスが身近にあるような感覚を覚えてしまいます。1997年8月1日初版第一刷発行 発行所は小学館。製作はBE-PAL編集部となっています。

 


世界のツリーハウス


最初にページを開けると「ゲゲゲの鬼太郎」の原作者水木しげる氏の書下ろし。水木しげる氏は戦時中に訪れた外地で様々なツリーハウスを見聞したとのこと。巨大な蟻(あり)の巣にも圧倒され、「人間なんかより家づくりが上手なんですよ」(p.13)とのご感想。ゲゲゲの鬼太郎では鬼太郎がツリーハウスに住んでいますが、ツリーハウスには人間界と妖怪の住む世界(自然界)とを橋渡しする意味も込められているそうです。
さらにページを繰ると、世界中のツリーハウスがカラー写真で掲載されています。ツリーハウスには猛獣から身を守るために、見張り小屋に、洪水や湿気を防ぐためにといった現実的な目的から建てられたものから、家族の記念碑的なもの、自由を求める男の浪漫(ろまん)などなど創作者の独創的なアイディアが目いっぱい詰められているものもあります。人生が詰まっているツリーハウスをこのページで堪能してください。

 


ツリーハウスに向かう人々―社会からの「ドロップアウト」ではない


ツリーハウスを作っている人々はどこか厭世(えんせい)的な気分が漂っているように思えてなりません。この本に惹かれた私も世俗の楽しみというのはあまり好んで体験したいとは思わない性格です。ツリーハウスを楽しむ人々は社会からドロップアウトした人たちとみられがちですが、世界で初めてツリーハウスの専門書『TREEHOUSES』(※)を上梓(じょうし)したピーター・ネルソン氏は次のようにインタビューに応えています。

「ドロップアウトというのは、社会というのが本流で、そこからはみだしたり、落ちこぼれたりするのは支流、という発想からくる言葉ですよね。何か優劣があって、アウトサイダーは本流よりも劣っている、という発想からは何も生まれません。‘60年代ならいざしらず、いま、ボクら(アメリカの若い世代)にはドロップアウトという感覚はありません。さっきもいいましたけど、生き方を見つめ直すために、それまでやってきたことからエスケープするのは、落ちこぼれる(ドロップアウト)ことではないんです。今ある社会も、自分が選ぼうとする生き方もすべて同列に見る。そのうえで自分なりの生き方をするという感じでしょうか」(p.41)

レールの敷かれた社会生活に自由を感じることができず、自然人としての生き方を体験したいという欲求の具現化したものの一つがツリーハウスであると、氏も私も思います。ツリーハウスは自由でよく、木に負担をかけなければどのような作り方をしてもよいのです。エコロジーの観点から自然と共に生活するスタイル、それは現代の社会に生きる私たちに必要なノウハウと体験であると思います。

おそらく世界初であろうツリーハウスの専門書。1994年上梓。Peter Nelson著。著者のネルソン氏は経済学部を卒業後、一般企業勤務を経験し住宅建築会社を設立。デザイナー兼大工として活躍している。『TREEHOUSES』は、7年の歳月をかけて調査したツリーハウスをまとめている。「ツリーハウスの作り方」「ツリーハウス製作者たちの暮らしぶり」「ツリーハウスのエコロジー」の3部構成となっている。

 


ツリーハウスのエコロジー、材質


外国の方が日本に来て作っているツリーハウスのコンセプトや水を雨水を浄化して得たり、電気を太陽光発電で賄ったりする技術が掲載されています。また、ツリーハウスの材木が「主要輸入材カタログ」として見開き3ページにわたり掲載されており、材木と樹木とを一体として捉えられるよう編集の工夫がなされています。材木の選定基準として「堅さ」「密度」「加工度」「反り」「強度」を5つ星評価しており、木目(繊維や年輪縞の走り方)がカラー写真で掲載されています。

 


ツリーハウスで奏でるミュージック


ツリーハウスは自由を満喫するもの。ツリーハウスで奏でたい音楽はやはり木材でつくられたギターやウクレレ。聞いてほしい楽曲紹介も掲載されています。BE-PAL初代編集長中村滋氏の推薦は「SMOKY MOUNTAIN MUSIC」。アコースティックな楽器で奏でる曲はツリーハウスによく似合うのでしょう。見開き3ページにわたって素材にこだわったギターの紹介。弦楽器というのは弾いた後の音色がスーッと消えていくのに魅力を覚える人もいるかもしれません。そのスーッっと消えゆく音の先に自然界が待ってくれるのなら、ツリーハウスで奏でる撥弦楽器の効能は自然界に溶け込む人間の精神的浄化にあるのかもしれませんね。

かくいう私もクラシックギターを趣味で弾いておりました。木材でつくられた楽器というものは人肌のように心地よく、安心感を与えてくれます。『アルハンブラ宮殿の想い出』『禁じられた遊び~愛のロマンス』といった代表曲を練習しましたが、ツリーハウスの中で奏でるとしたら『コユンババ』(※)を弾いてみたいと思いました。考えただけでもワクワクしてきます。

イタリアのギター作曲家カルロ・ドメニコーニ作のギター組曲。4楽章からなり15分程度の演奏時間。『コユンババ』という聞きなれないタイトルのこの曲は、変則ギターチューニングで奏でられる。コユンババというのは、トルコの聖職者や羊飼いの名前という説があるが、ほんとうのところよくわかっていない。でも、わからなくてもいいのかもしれない。曲に気持ちを乗せて自然と調和するのが共鳴楽器であるギターの優れているところだから。作者のドメニコーニ氏は言う、「この曲は地球の自転のリズムに合っている曲」であると。ツリーハウスで私は『コユンババ』をぜひ一度奏でてみたいと思っている。


「いい大工になろうとする必要はない」ツリーハウス作り方コンプリートマニュアル


35ページにもわたって解説されているのがツリーハウスの作り方。モノクロページではあるが、ツリーハウスの基礎工程から道具の基本的な使い方、装備品、工法・組み立てなど説明されています。ツリーハウスを作るとき「いい大工になろうとする必要はない」とは、ピーター・ネルソン氏の言葉。技術ではなく、夢を実現する気持ちを忘れないことが大切であると氏は私たちに伝えてくれています。基礎的な道具の使い方、そして木を傷めないという配慮、木の上という高所で必要な安全性をしっかりおさえておけば、だれでも取り組めるのがツリーハウスのいいところ。マニュアルをみながら、頭の中で自分のツリーハウスを組み立てながら、想像をかき立てるのをお勧めいたします。


総括 『Be-PAL OUTING MOOK ツリーハウスブック』


この本一冊だけでツリーハウスの概要を理解することができるでしょう。しかし、自由度が高いため奥が深く、製作者の夢を形にするツリーハウスは現在進行形で進化し続ける建築物です。『TREEHOUSES』などに代表される成書を繙(ひもと)き、さらなる造詣を深めていく必要があります。

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